近年人気の高まってきている女子総合格闘技。
これから女子総合格闘技を見始めよう、やりはじめようという方にとって、 総合格闘技の団体はたくさんあって、その中でも女子の階級やルールが、男子のものとどのくらい違いがあるのか、わかりにくいですよね。
また、海外での女子総合格闘技「ジョシカク」は男子と比べてどんな雰囲気なのか?日本にと比べてどんな歴史をたどってきたのか、どんな選手が活躍しているのかが気になると思います。
この記事では、女子総合格闘技の階級とルールの団体ごとや男子との違い、ラウンド数や服装の規定、海外での女子総合格闘家の収入、海外での総合格闘技の歴史と女子総合の歴史、海外の女子選手の歴代最強・美人選手についてご紹介します。
それでは、少し複雑な階級とルールから、興味深い歴史、そして女子選手のことまでチェックしてみましょう!
女子総合格闘技の階級
総合格闘技(MMA)女子の階級は、興行団体によって少し違いがあります。
女子階級は4~5階級が一般的
UFCなどのメジャーな総合格闘技団体の階級は、米国ニュージャージー州アスレチック・コミッション(NJSACB)が制定しているユニファイド・ルール(米国内の統一ルール)に従って14の階級に分かれています。
このユニファイドルールを採用している団体では、女子階級は14段階あるリストの下の方から4~5段階の軽量階級のみを使用しています。
- 総合格闘技女子階級(ユニファイドルール)
- 女子フェザー級
- 65.8kg以下
- 女子バンタム級
- 61.2kg以下
- 女子フライ級
- 56.7kg以下
- 女子ストロー級
- 52.2kg以下
- +女子アトム
- 級48kg以下(一部団体)
- 女子フェザー級
UFCの女子の階級では、ストロー級からフェザー級までの4階級に階級王座を設定しています。
UFCの使っているユニファイドルールはアメリカの基準なので、最低体重がストロー級の52.2キロ。ユニファイド・ルールではこれ以下階級は設定していません。UFCでアジア人女性選手が少ないのはこのためでしょうか?
女性王座を認める一部の団体では、ストロー級の下の階級であるアトム級(48キロ、105ポンド以下)を設定しているところもあります。
アジアではアトム級の選手が多いので、アトム級を採用している団体が多いです。私も身長は165cmありますが、体重が少ないのでアトム級です!
ONE FCは独自の階級システム
シンガポールを拠点とするONE FCでは、 独自の階級制があり、選手の健康を考慮して体重に関する厳しいルールを設けています。
52キロ以下のアトム級から120キロ以下のヘビー級まで10階級あって、男子と女子の階級に特別差を設けていないようですが、現在在籍している女子選手の階級は、フライ級、ストロー級、アトム級の3階級です。
- One Championship在籍女子選手の階級
- フライ級
- 56.8 KG – 61.2 KG
- ストロー級
- 52.3 KG – 56.7 KG
- アトム級
- 47.7 KG – 52.2 KG
- フライ級
フライ級4名、ストロー級6名、アトム級26名と、圧倒的にアトム級の女子選手が多くなっています。
日本の総合格闘技団体
日本の有名な総合格闘技団体での女子の階級数は下のようになっています。
- パンクラス: 3階級
- バンタム~ストロー
- ディープ: 5階級
- 無差別+ミドル~フライ
- ライジン:全18階級中8階級程度
- アトム~スーパーバンタム

ライジンの階級はユニファイドルールの階級に加えてスーパー〇〇級という階級が追加されて、より細かい階級システムになっています。
いずれにしても、各団体で男女での階級システムには、差は設けられていないようです。
女子総合格闘技のルール
女子総合格闘技のルールは、男子のものと違いがあるのでしょうか?
ラウンド数
総合格闘技のラウンド数は、
- ユニファイドルールでは
- 通常5分x3ラウンド
- タイトルマッチは5分5ラウンド
- 男女の差はなし
で、どちらも各ラウンド間に1分のインターバルが設けられています。
- RIZINのMMAルールでは
- 女子の試合は
- 5分x3ラウンド制
- 男子の試合は
- 10分+5分の2ラウンド
- または5分3ラウンド制
- 上記以外は特別ルール
- 女子の試合は
ライジンでは女子のラウンド数はユニファイドルールに従っています。これ以外は特別ルールとしてラウンド数が変化する試合もよくあります。
判定基準や有効打撃、反則などのルールに男女差はないようです。
服装、プロテクター等の制限
ユニファイド・ルールの規則によると、総合格闘技の試合中に股間のプロテクター(Jockstrap)を装着しなければならないとルールで定められているのに対して、
- 女子選手は
- 股間への攻撃を防ぐものを着用してはならない
- コミッションが承認した胸部プロテクターと、
- シャツを着用する
ことが決められています。 胸部プロテクターは下の写真のようなもので、見た目は普通のトップと同じような感じです。(ちょっとモデルさんが80年代っぽいですが・・・(笑)。)

- ( 女性用胸部プロテクター 引用元:masupplies.com.au )
自転車競技などでは女性も骨盤プロテクター(Pelvic Protector)を着用するのに、総合格闘技で許されないのはどうしてなのか?気になりますが…。
それ以外については、ユニファイド・ルールでは男女間に差はないようです。
海外での女子総合格闘技
総合格闘技と海外ジョシカクの歴史
英語版のウィキペディアによると、総合格闘技の略歴は以下のようなものになります。
- 古くは古代の中国、ギリシャ、エジプト、インド、日本に総合格闘スポーツが存在していた
- 20世紀の初頭
- 日本や「アジアの四虎(または四龍)」と呼ばれていた韓国・台湾・香港・シンガポールで流派を超えた試合が盛んに行われていた
- 当時ブラジルでもヴァリ・トゥードゥ(Vale Tudo)という最小限またはルールなしの流派混合格闘スポーツが行われていた
- 1920年代
- ブラジルのグレイシー一族がブラジリアン柔術(BJJ)を創始
- 1960年代
- 柔道家の木村雅彦とBJJ創始者のエリオ・グレイシーが対戦
- 1960年後半~1970年代初頭
- 西洋ではブルース・リーによって、複数の武術の要素を合わせるという概念が広められた
- 1976年
- ボクサーのモハメド・アリとレスラーのアントニオ猪木が闘ったのが現代総合格闘技のさきがけとなり、のちのパンクラス(93年)やプライド(97年)の創立に影響を与えた
- 1980年
- 米国で初の総合格闘技リーグ(Battle of the Superfughters)が創られペンシルベニアで興行されたが、1983年に州法で禁止された
- 1993年
- グレイシー一族がBJJをアメリカに持ち込み総合格闘技の興行会社であるUFCを設立
- 総合格闘技(Mixed Martial Arts)という名前がUFCの解説者によってはじめて用いられた
この中で、海外での女子総合格闘技の歴史のはじまりは遅く、
- 2005年にUFCのリアリティー番組が始まるまでは女子の試合に関してはほとんどメディアに出ていなかった
- 早くから女子選手を試合に出場させていた団体は、
- International Fighting Championships
- SuperBrawl
- King of the Cage など。
- 早くから女子選手を試合に出場させていた団体は、
- 2000年代半ばから、複数の団体が女子選手を起用し初めてから、女子総合格闘技は、もっとメディアに取り上げられるようになった
- Strikeforce、EliteXC、Bellator Fighting Championships(ベラトール)など
- 日本と米国以外では、女子総合格闘技の試合はほとんど地元の無名な興行団体に限って行われている
- しかし、 It’s Showtime、 Shooto Europe、 Cage Warriors、 and M-1 Globalなどの ヨーロッパのいくつかの有名な団体は、女子の試合を開催した実績をもつ
- 2011年に米国の総合格闘技のプロモート企業ズッファ(Zuffa)が買収ストライクフォースを買収してから、UFCが女子の試合を興行するようになり、ロンダ・ロージーが急速に興行の目玉となった
- 2013年には、トランスジェンダー(性転換者)の女性を女子の試合に出場させるかどうかが議論となった
海外での女子総合格闘技は2010年代から人気が高まって、UFCでの女子格闘家の数は現在も増え続けていて、現時点でUFCで活動している女子格闘家の数は100人以上。
米国やアジアに存在するメジャーな興行団体には、世界各国から女性の選手が集まっており、90年代に日本で始まった女子総合格闘技は、今や海外で人気のスポーツとなっています。
海外女子総合格闘家の収入
プロボクサーや格闘家のファイトマネーが億単位と騒がれることがよくありますが、プロの海外女子総合格闘家はどのくらい収入を得ているのでしょうか?
UFCの女子収入ランキングのトップ10(1試合あたり)では、
- 第1位のアマンダ・ヌネス(Amanda Nunes、ブラジル)
- 45万米ドル(約5000万円)
- 第10位のジャン・ウェイリー(Weili Zhang 張 偉麗、中国)
- 10万ドル(約1100万円)
女子のトップファイターは平均して一試合2500万円ほど収入を得ているということになります。
男子では第一位のコナー・マクレガー(Conor McGregorアイルランド)が110億米ドル(約120億円)、第10位のティト・オーティズ(Tito Ortiz米国)が150億米ドル(約16億円)。男子トップ選手は平均して約70億円の収入があることになります。
男子のトップ120億円で女子のトップが5000万円と、男女間で天地の差があって驚きましたが、女子の総合格闘家の収入は、人気が高まるにつれてこれから伸びていくのではないかと思います。
海外MMAで最強女子選手
海外女子総合格闘技で歴代最強と言われている選手たちを見てみましょう!
アマンダ・ヌネス
アマンダ・ロレンソ・ヌネスはブラジル出身の31歳で第3代UFC世界女子フェザー級王者、第4第UFC世界女子バンタム級王者で、二段階制覇の記録などを持つ、UFC女子選手最強と言われています。

引用元:UFC.com
わずか4歳から空手を始め、ボクシング、BJJを経験した後に19歳に総合格闘技に転向しています。レズビアンであり、同じUFCの女子総合格闘家ニーナ・アンサロフと婚約しているそう。
こちらは次に紹介するUFCのトップ女子選手ロンダ・ラウジーにわずか1ラウンド48秒でテクニカル・ノックアウト勝利した試合の動画。
ロンダ・ラウジーの顔面にストレートパンチを何度もヒットさせてフラフラにさせてしまう強さを見せています。
藤井恵
海外の女子総合格闘家最強ランキングのトップ10には、日本人で「秒殺女王」「女子総合格闘技のレジェンド」の異名を持つ藤井恵の名前も上がっています。

引用元:wmmafighters.dandom.com
藤井は岡山県出身の45歳。3歳から柔道を始め、ロシアの武道サンボ、ブラジリアン柔術などで実績を残し、総合格闘技でも国内外の団体で活躍し、2013年に引退。
2012年頃まで、階級を無視した女性総合格闘家ランキング「パウンド・フォー・パウンド」で世界第一位に指名されていた選手です。
現在はRIZINの女子の試合解説と格闘技のインストラクターをしているそうです。藤井恵は海外で最も評価されている日本人の女子総合格闘家と言って良いでしょう。
その他の歴代最強女子選手
上の二人以外の歴代最強ランキング上位にランクインしている選手はこちらの4人。




- 【左上】ヴァレンティーナ・シェフチェンコ(キルギス)
- 【右上】クリス・サイボーグ(ブラジル)
- 【左下】ロンダ・ラウジー(米国)
- 【右下】ヨアナ・イェンジェイチック(ポーランド)
クリス・サイボーグは歴代最強ランキング1位のまさにサイボーグ選手。ロンダ・ロージーは世界で最も人気の高い女子総合格闘家4人の一人にも選ばれていて現在はレスラーに転向しています。
ONE FC女子世界王者
海外の総合格闘技というと、UFCが有名ですが、近年人気を高めているシンガポールのONE Championshipでも女性総合格闘家の活躍が注目されています。


カナダ生まれ、ハワイ育ちのアンジェラ・リー(写真左)はONE女子アトム級の世界王者。シンガポール人の父と韓国人の母、弟も格闘家という格闘一家から出た23歳のスーパーヒロイン。
テコンドーとブラジリアン柔術療法で黒帯を持ち、12試合中10勝2敗の戦績をあげています。
中国を代表するONEストロー級世界チャンピオンのション・ジンナン(写真右)は、中国初の総合格闘技世界王者。ムエタイ・キックボクシングをバックボーンにした選手で、現在も王座の防衛を続けている
海外MMA 美人選手は?
UFCの美人ランキング1位に指名されているのが、2018年にストロー級で8位となったミシェル・ウォーターソン(写真右上)。 空手とムエタイをバックボーンにしたアメリカ生まれのタイのハーフ美人です。




その他にも、23歳のロシアの美女ジュリ・フィアソ(Juli Firso、写真左上)、柔術黒帯のマッケンジー・ダーン(写真右下)、ミーシャ・テイト(写真左下)など、UFCからは美しい女子総合格闘技選手が沢山出ています。
ミーシャ・テイトは最強ランキングのトップ10にも入っていて、強さと美しさを兼備した総合格闘家です。
その他のUFC美人女子選手トップ10はこちら(英語記事)。
セクシーすぎてここには載せられないので(笑)気になる方はチェックしてみてください。
まとめ
総合格闘技女子の階級とルール、海外MMAの歴史と最強・美人女子選手についてのまとめです。
- 女子総合格闘技の階級
- 海外では統一ルールの4~5段階(アトム級~フェザー級)を採用している団体が多い
- ライジンやONE FCは独自の階級システムを持つ
- 女子総合格闘技のルール は基本的に男子と同じ
- ラウンド数
- ノンタイトル5分x3ラウンド
- タイトル5分x5ラウンド
- RIZINのMMAルールは男子のラウンド数が異なる
- 女子の骨盤プロテクターの着用禁止と胸部プロテクターの着用義務がある(統一ルール)
- ラウンド数
- 海外女子総合格闘技は2011年からロンダ・ロージーを筆頭に人気が上昇して選手数が伸び続けている
- 海外女子トップ選手の収入は平均2500万円
- 最強女子選手は、アマンダ・ヌネス、藤井恵、クリス・サイボーグ、ロンダ・ラウジー(UFC)など
- ONE FCのアンジェラ・リーなどのアジアの若手選手にも注目が集まっている。
- 美人選手はミシェル・ウォーターソンなど、UFCに多く存在する。
90年代の日本ででは盛んに女子総合格闘技の興行があり、世界のさきがけになっていたそうです。
現在もライジンなどで活躍する日本人の若手女子選手が見られる中、海外と日本の団体の混合大会もあり、ますますジョシカクが盛り上がっていくと思われます。
海外ではMMAやムエタイなどのクラスに沢山女性が訪れていて、 ブラジリアン柔術の大会ではかわいらしい女の子が道着を着て勇ましく闘っている姿をみることができます。
いま存在している男女の格差が少しずつ狭まって、男女ともに競技し、どちらの選手も同じくらい熱く応援できるようなカルチャーができていくのが楽しみです!
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